「アスベストの調査を省いたり、いい加減に済ませたりしたら、どうなるの?」—— 石綿に関する義務違反には、法律で罰則が定められています。 この記事では、どんな違反にどんな罰則があるのか、そして発注者(施主)はどこまで責任を負うのかを、 わかりやすく整理します。
罰則の具体的な内容は法令の条文で定められており、状況によって適用される規定が異なります。本記事は概要の解説です。個別の判断は専門家や所管行政にご確認ください。
主な罰則の例
アスベストに関する規制は、主に大気汚染防止法(周辺環境への飛散防止)と、石綿障害予防規則・労働安全衛生法(作業者の健康保護)の2つの体系で定められています。代表的な罰則は次のとおりです。
大気汚染防止法
- 吹付け石綿などの除去で、作業場所の隔離などの措置を講じずに作業した場合:3か月以下の懲役または30万円以下の罰金(2020年改正で新設された直接罰)。
- 事前調査結果の報告をしない、または虚偽の報告をした場合:30万円以下の罰金。
- 作業基準に適合させるための命令に違反した場合などにも罰則が定められています。
石綿障害予防規則・労働安全衛生法
事前調査を行わない、必要な作業の措置を怠るなど、石綿障害予防規則(労働安全衛生法に基づく規則)に違反した場合も、懲役または罰金の対象となり得ます。 作業者の健康に直結するため、規制は厳格です。
発注者(施主)はどこまで責任を負う?
これらの罰則の主な対象は、実際に工事を行う施工者(元請業者などの事業者)です。 純粋な発注者(施主)が、これらの罰則の直接の対象になることは原則としてありません。
ただし「配慮義務」がある
とはいえ、発注者には大気汚染防止法上の「配慮義務」があります。 これは、事前調査や除去などが適切に行われるよう、工期や費用の面で施工者に不当な負担を課さないよう配慮する努力義務です。 「安く・早く」を過度に求めた結果、必要な調査や措置が省かれれば、トラブルの原因になります。
なお、発注者自身が工事を請け負う立場(元請を兼ねる)や、自ら施工する場合は、施工者として罰則の対象になり得ます。
罰則以外の「発注者にとっての本当のリスク」
発注者が直接罰せられないとしても、調査や措置が不適切だった場合のリスクは小さくありません。
- 違反が発覚し、工事が中断・やり直しになる(工期遅延・追加費用)。
- アスベストの飛散による近隣トラブルや健康被害の発生。
- 建物利用者・購入者との後日のトラブル(改修・売却時の説明責任)。
結局のところ、最初から有資格者による適切な調査を行い、必要な報告・措置をとることが、発注者にとっても最も確実なリスク回避になります。